先日の講演会で、性器クラミジアの検査ってどんなだったかなーと思ったので調べてみました。
クラミジア・トラコーマチス抗体IgA、IgGを調べればわかる様です。
IgAが感染性、活動性の指標になります。IgGは既往の指標。
でも抗原検査が検出不能例、検体採取困難例のみ算定出来るらしい。
IgA(-) IgG(-) 感染なし。
IgA(+) IgG(+) 最近、感染した可能性あり。
IgA(-) IgG(+) 感染の可能性、既往。
IgA(+) IgG (-)感染のごく初期の可能性が考えられます。
検査をした人の3割は陽性(感染)となるそうです。どんどん増えるのかな。
クラミジアは症状がないままオオゴトなったりするので、性交渉の心当たりのある人(特に感染予防をしていない人)、帯下の増加がある人、下腹部違和感のある人、不妊の人、パートナーがクラミジアの既往がある人は、早めの検査、治療をお勧めします。
では、抗原の検査は?病巣のぬぐい液のクラミジア・トラコーマチス同定。
でも肺クラミジアで偽陽性となることがあるらしい。
参考までに。
IgM・・・1週間以内に上昇。治療・無治療にかかわらず速やかに消失。2ヵ月以内に陰性化。
※再感染では上昇しない。
IgG・・・約1ヵ月後から上昇。数年間持続。約4年で陰性化。
IgA・・・IgG抗体に遅れて5~6週間で上昇。数年間持続。約3年で陰性化。
Eguchi clinic. A doctor is specialized in gastroenterological medicine. Two doctors are in General Medicine. We see the patients with common disease. iタウンページにHPを掲載しました。 https://itp.ne.jp/info/411110349400000899/
2011年2月15日火曜日
若い女性の急激な腹痛
2月4日に講演会に行ってきました。
今回のお勉強症例は。。。若い女性(29歳)、急に始まった右季肋部(肋骨下辺り)と下腹部の腹痛でした。
キーポイントは急性B型肝炎の既往、帯下(おりもの)の増加です。
・敗血症(ばい菌が体中を巡って血圧が下がったり、臓器に障害が出たりする致命的な状態)
・腹膜炎(お腹を覆う膜に炎症がある)
があり、画像の検査で、
・骨盤内炎症性疾患PID(骨盤の中に炎症がある)
・腸管リンパ節の腫大(リンパ節は全身にありますが、中でもお腹の中のリンパ節が腫れていて原因がそこの近くにあるのではないか?ということ)
・空腸壁の肥厚と接する脂肪組織の腫脹
があることが分かりました。
B型肝炎は、母子感染が少なくなった今、感染の経路としては性交渉が多く、性生活が活発な女性なのかな?、という印象です。もちろん全てではありませんが。帯下の増加は、性感染症の存在を感じます。
すぐに、経腟的に性感染症を起こし、お腹の中や肝臓周囲に炎症を起こす、「フィッツヒューカーティス症候群」を思い浮かべましたが、今回の症例では結局、血液培養でも原因のばい菌ははっきりせず、産婦人科の診察でも生殖器に炎症を起こしている様な所見はなく、原因ははっきりしないままでした。
抗生剤はいろんな種類があって、的が外れるとうまいこと効きません。何でも効く抗生剤を使うと、体内で共存している細菌のバランスが崩れたり、中途半端に効いた抗生剤にばい菌が進化して、抗生剤の効かないばい菌が増えたり、医療界全体の問題になっています。最近は昔と比べて病院で抗生剤をすぐ出してくれないのはそのせいです。
今回の抗生剤の選択は、
膣から侵入したばい菌をターゲットにすると、
大腸菌・・・セフトリアキソンもしくはゲンタマイシン
または嫌気性菌・・・ダラシン
大腸菌と嫌気性菌・・・セフメタゾン、アンピシリン/スルバクタム
淋菌・・・セフトリアキソン?
クラミジア・・・マクロライド
が選択されます。クラミジアの感染はクラミジア抗体IgA、IgGを測ると分かります。
今回は、クラミジアは陰性だったかな?セフメタゾールが選択された様です。
その他抗生剤選択の参考になるようなこととしては、
・無月経なら自浄作用が減るためか、経腟感染のリスクが上がる。
・血液培養でグループA連鎖球菌なら、単独での感染が多いので抗生剤をもっと絞れる。
・帯下の培養でグループA連鎖球菌なら、アンピシリン単独での治療が考えられる。
・今回はフォーカスが不明で、腹腔内は複数のばい菌が原因のことも多いので、もっと絞る(デエスカレーションする)ならアンピシリン/スルバクタムでもOK。
普段の外来では抗生剤を使う機会が少なく、抗生剤カタカナ群と知らぬ間に距離が出来ていましたが、良い刺激となりました。また仲良くやれそうです。
今回のお勉強症例は。。。若い女性(29歳)、急に始まった右季肋部(肋骨下辺り)と下腹部の腹痛でした。
キーポイントは急性B型肝炎の既往、帯下(おりもの)の増加です。
・敗血症(ばい菌が体中を巡って血圧が下がったり、臓器に障害が出たりする致命的な状態)
・腹膜炎(お腹を覆う膜に炎症がある)
があり、画像の検査で、
・骨盤内炎症性疾患PID(骨盤の中に炎症がある)
・腸管リンパ節の腫大(リンパ節は全身にありますが、中でもお腹の中のリンパ節が腫れていて原因がそこの近くにあるのではないか?ということ)
・空腸壁の肥厚と接する脂肪組織の腫脹
があることが分かりました。
B型肝炎は、母子感染が少なくなった今、感染の経路としては性交渉が多く、性生活が活発な女性なのかな?、という印象です。もちろん全てではありませんが。帯下の増加は、性感染症の存在を感じます。
すぐに、経腟的に性感染症を起こし、お腹の中や肝臓周囲に炎症を起こす、「フィッツヒューカーティス症候群」を思い浮かべましたが、今回の症例では結局、血液培養でも原因のばい菌ははっきりせず、産婦人科の診察でも生殖器に炎症を起こしている様な所見はなく、原因ははっきりしないままでした。
抗生剤はいろんな種類があって、的が外れるとうまいこと効きません。何でも効く抗生剤を使うと、体内で共存している細菌のバランスが崩れたり、中途半端に効いた抗生剤にばい菌が進化して、抗生剤の効かないばい菌が増えたり、医療界全体の問題になっています。最近は昔と比べて病院で抗生剤をすぐ出してくれないのはそのせいです。
今回の抗生剤の選択は、
膣から侵入したばい菌をターゲットにすると、
大腸菌・・・セフトリアキソンもしくはゲンタマイシン
または嫌気性菌・・・ダラシン
大腸菌と嫌気性菌・・・セフメタゾン、アンピシリン/スルバクタム
淋菌・・・セフトリアキソン?
クラミジア・・・マクロライド
が選択されます。クラミジアの感染はクラミジア抗体IgA、IgGを測ると分かります。
今回は、クラミジアは陰性だったかな?セフメタゾールが選択された様です。
その他抗生剤選択の参考になるようなこととしては、
・無月経なら自浄作用が減るためか、経腟感染のリスクが上がる。
・血液培養でグループA連鎖球菌なら、単独での感染が多いので抗生剤をもっと絞れる。
・帯下の培養でグループA連鎖球菌なら、アンピシリン単独での治療が考えられる。
・今回はフォーカスが不明で、腹腔内は複数のばい菌が原因のことも多いので、もっと絞る(デエスカレーションする)ならアンピシリン/スルバクタムでもOK。
普段の外来では抗生剤を使う機会が少なく、抗生剤カタカナ群と知らぬ間に距離が出来ていましたが、良い刺激となりました。また仲良くやれそうです。
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