江口医院では上部消化管内視鏡検査をしています。
今年の3月から、鼻から通して行う経鼻内視鏡検査が導入されました☆
○ 上部消化管とは
ヒトの消化器官には、口腔、咽頭、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、肛門があります。食べ物が口から入って出てくる通り道です。「上部」とは、十二指腸より上を指します。
○ 上部内視鏡検査とは
内視鏡とは細長い管を体内に通してモノを見る検査器具のことです。昔、上部消化管内視鏡検査は、カメラを先端につけたものが多く、胃・十二指腸カメラと呼ばれていました。現在もその名残でカメラと呼ばれることが多いと思われます。最近のほとんどの内視鏡は光ファイバーを使ってあり、内視鏡、胃ファイバー、胃十二指腸ファイバー、GIF(GastroIntestinal Fiberscopeの略)とも呼ばれています。以下では、なじみやすい胃カメラと呼ぶことにします。
胃カメラでは、口腔から十二指腸の途中まで観察することが出来ます。胃のむかむかが続く人、胃が痛む人、体のどこかから出ている出血による貧血を言われている人、胃癌検診でひっかっかった人などが受けます。佐賀では、胃カメラの検査を受けないと出せないあお薬もあります。胃炎や胃癌を起こしやすい細菌として「ピロリ菌」が有名ですが、当院では内視鏡で組織を採ってくる「ピロリ菌が感染しているかの検査」は行っていません。必要があれば、採血で検査します。ピロリ菌は胃酸の分泌が充分に発達していない幼少期に、親の口うつしで食べることにより感染することが多いと言われています。虫歯と同じですね。
当院では、鼻からと口からの両方の機器があり、患者さんによっては選ぶことが出来ます。
鼻からの検査の良いところは、口からの検査に比べ、嘔吐反射が少ないことです。嘔吐反射は、咽にモノが当たると「おえっ」とくるあの反射のことです。若い人は嘔吐反射が強く、苦い思い出からなかなか検査に踏み切れない人も多いでしょう。鼻からの検査で敷居が低くなって、必要な検査を受けて頂けることを願っています。鼻からの検査の悪いところは、管が細いため、胃の中の液を引くのに時間がかかることです。何も食べていないくても口や胃は消化液を分泌していますし、胃の運動が悪い人は食べ物が残っていることがあります。そんな時には時間がかかります。また、前処置に時間がかかります。検査自体は通常15分程度で済みますが、その前に、鼻の麻酔をかけたり、鼻の穴を管で広げたりするのに20分程度かかります。鼻の穴の狭い人にはお勧め出来ません。あとは、検査をするお医者さんの問題ですが、扱い方が多少難しくなる様です。
口からの検査の良いところは、胃の内容物の吸引が早いこと、大きいカメラでしっかり観察出来ることです。今までに胃癌などの病気を言われたことがある人は、口からの検査をお勧めします。
<ちなみに>私は鼻から内視鏡の経験者(される方)です。口からの検査をしたことがないので比較は出来ませんが、嘔吐反射は2回くらいで済みました。喉を見るときにもおえっと来るのに、想像していたより楽でした。片目からと鼻から涙がぼろぼろ出ました。画面では鼻血が出ていましたが、そんなに気にはならない程度です。麻酔のせいか鼻血のせいか、済んだ後に鼻の中がカピカピしていました。
○ 検査の方法
前日の9時から食べ物禁止です。色のついていない飲み物(○:お茶、水、×:牛乳)は飲んでも良いですが、朝に沢山飲むと、検査で吸い出すのに時間がかかりますので控え目が良いです。鼻から検査の人は、鼻のスプレー麻酔、ゼリー麻酔、細い管、少し太い管を入れて鼻を慣らします。鼻がつんときます。喉に降りてきた麻酔は飲んで良いです。あとは、鼻からの人も、口からの人も、胃の運動を抑える薬を肩に注射し、胃の泡を消す薬を飲んで、胃全体に行き渡るようにごろんごろんします。注射はないこともあります。注射が苦手な人、緑内障、前立腺肥大がある人は、検査の前に相談して下さい。検査は15分くらいで胃、十二指腸の途中まで観察し終わります。怪しいモノがある時は、色素をまいて、胃の表面に色をつけて観察します。検査中は唾を飲み込むと喉に麻酔がかかっているのでむせることがありますので、飲みこみません。検査の後はのどの麻酔が切れるまで、30分くらい飲食は控えましょう。
眠くなる注射をして検査をする施設もありますが、帰りの運転の心配や薬の副作用の心配もあるので、当院では行っていません。