肝炎は、何らかの原因で肝臓に炎症が起こっている状態です。日本では、ウイルスによる肝炎が80%を占め、これを「ウイルス性肝炎」と言います。ウイルスにはいろんな種類がありますが、日本では、A型、B型、C型があります。中でも、慢性化して、肝硬変や肝がんの原因となりやすいのはB型、C型です。肝臓は、沈黙の臓器と言われ、肝炎を持っていても無症状のことが多いです。ほったらかし厳禁です。
肝硬変は、肝臓の細胞が死んで減ってしまい、硬い線維に変わっていき、肝臓の機能が弱ってしまう、治らない病気です。食欲不振、疲れやすい、黄色い皮膚、食道に静脈瘤が出来て吐血する、お腹に水が溜まる、足がむくむ、意識が悪くなる、などの症状があります。1年間に1割弱が肝がんを発症していきます。
肝がんは、その名の通り、肝臓に出来る癌です。肝がんの8割近くはC型肝炎ウイルス、2割近くはB型肝炎ウイルスによる肝炎によるものです。肝がんが進行した時の症状は、肝硬変と似ていますが、他に、肝がんが破裂してお腹のなかに多量に出血したり、骨に転移して痛みを生じたります。
佐賀県の肝がん死亡率は高く、長年対策に取り組んで来ましたが、ワースト1位を脱却するのは簡単なことではありません。元々、肝炎ウイルスを持っている人が多いのもありますが、多忙や短命にぽっくり逝くことを信じて治療したがらない風土(印象)、一昔前のインターフェロンの副作用の印象、一昔前のインターフェロンのウイルス退治成功率の低さ、それらを踏まえて、患者さんや医師の、治療に対する意欲の低さ(印象)などが、関係しているようです。もちろん、肝炎ウイルス検査の受診率も低く、宣伝も足りないようです。
肝疾患センターでは、そういう、治療を阻害する要因も明らかにしたい(証拠を掴みたい)、と思っています。
肝疾患センターのホームページです。
まだ、未熟ですが、肝疾患センターと共に、これから成長していきます。
クリック、クリックお願いします。
http://sagankan.med.saga-u.ac.jp
Eguchi clinic. A doctor is specialized in gastroenterological medicine. Two doctors are in General Medicine. We see the patients with common disease. iタウンページにHPを掲載しました。 https://itp.ne.jp/info/411110349400000899/
2012年1月24日火曜日
求める医師像、医師のあり方
医師会雑誌にあった簡単な記事を紹介します。
医療を受ける患者・住民50人、
医療人47人、
行政担当者19人、
医師を志す高校生41人、の計157人に対して行った質問の結果です。
●医師のイメージ。
忙しい、頭がいい、お金持ち、尊敬できる、が多い。
医療人にはお金持ちの比率が少ない。
●医師に求める資質。
判断力、誠実さ、コミュニケーション力が多い。
手の器用さやリーダーシップは少ない。
●医師は信頼出来るか。
ほとんど、もしくは一部の医師にで意見が別れる。
●自分の生活範囲での医師数。
不足している。特に医療人が深刻に捉えている。
総合医・家庭医を要するとの回答が専門医・研究医の約3倍。
●コンビニ受診、タクシー救急車の改善に必要なもの。
一般住民への教育活動。
●患者・住民、医療人、行政担当者の意思疎通について。
患者・住民⇔行政担当者間に問題がある。
医師は確かに忙しい。
昔とは意識がだいぶ変わってきているし医療界も変わろうとしているように思うけど、
医師不足ではなかなか厳しい。
お給料も、勤める病院や働き方で、負担も、時給も違う。不思議な制度。
リーダーシップは、医師個人には必要ないかもしれないが、医療界全体には必要。
総合医・家庭医として、自分を育てることも、人を育てることも大事。
教育って難しい。救急車を使うときの定義はあるのだろうか。
冷や汗が出るような耐えられない痛み、突然の麻痺、意識障害、出血多量は救急車ですね。
命や健康に関わることは、なかなか誰しも判断しがたいし責任もとれない。
自分のことや認知症となるとますます冷静な判断がしにくい。
一人の夜は不安をあおる。難しい問題ですね。
患者・住民も、医療人も、行政も、意思疎通のために発信していかなくてはいけませんね。
顔も見えない医師を志す高校生41人に期待。
そして、自分も、誠実に、頑張ります。
医療を受ける患者・住民50人、
医療人47人、
行政担当者19人、
医師を志す高校生41人、の計157人に対して行った質問の結果です。
●医師のイメージ。
忙しい、頭がいい、お金持ち、尊敬できる、が多い。
医療人にはお金持ちの比率が少ない。
●医師に求める資質。
判断力、誠実さ、コミュニケーション力が多い。
手の器用さやリーダーシップは少ない。
●医師は信頼出来るか。
ほとんど、もしくは一部の医師にで意見が別れる。
●自分の生活範囲での医師数。
不足している。特に医療人が深刻に捉えている。
総合医・家庭医を要するとの回答が専門医・研究医の約3倍。
●コンビニ受診、タクシー救急車の改善に必要なもの。
一般住民への教育活動。
●患者・住民、医療人、行政担当者の意思疎通について。
患者・住民⇔行政担当者間に問題がある。
医師は確かに忙しい。
昔とは意識がだいぶ変わってきているし医療界も変わろうとしているように思うけど、
医師不足ではなかなか厳しい。
お給料も、勤める病院や働き方で、負担も、時給も違う。不思議な制度。
リーダーシップは、医師個人には必要ないかもしれないが、医療界全体には必要。
総合医・家庭医として、自分を育てることも、人を育てることも大事。
教育って難しい。救急車を使うときの定義はあるのだろうか。
冷や汗が出るような耐えられない痛み、突然の麻痺、意識障害、出血多量は救急車ですね。
命や健康に関わることは、なかなか誰しも判断しがたいし責任もとれない。
自分のことや認知症となるとますます冷静な判断がしにくい。
一人の夜は不安をあおる。難しい問題ですね。
患者・住民も、医療人も、行政も、意思疎通のために発信していかなくてはいけませんね。
顔も見えない医師を志す高校生41人に期待。
そして、自分も、誠実に、頑張ります。
2012年1月10日火曜日
明けましておめでとうございます。
明けましておめでとうございます。
世間ではお正月は過ぎ去り、鏡開きの時期かと思いますが、私は昨日追加の年賀状を書き終わりました。あ、出していない。出さなくては。
昨日、与賀神社の十日えびすに初めて行って来ました。数年分ためたお守りをお火焚きして貰えるよう預けて、お参りしてきました。病院の場合、無病息災と商売繁盛が矛盾してしまうので、1月から着任した、肝疾患医療支援学講座の運営がうまく行くようお祈りしてきました。
肝疾患医療支援学講座は、佐賀県の肝癌ワースト1位脱却を念頭において計画された企画書を、佐賀県に提出し、佐賀県から認められて予算が降り、佐賀大学内に出来た講座です。医学部内の肝疾患センターにあります。
佐賀県の肝癌ワースト1位は、12年目に突入するそうです。肝癌を減らすためには、まず、肝炎を減らすことです。そのために、肝炎ウイルスの健診を受けてもらうこと、肝炎ウイルスの感染がわかったら医療機関を受診して貰うこと、治療が必要な患者さんに(地域で)治療が導入されることを目指します。そのために、佐賀県中のデータを集めて、調査をしながら、精密検査や治療が必要そうな患者さんを抽出し、講座の医師がかかりつけ医療機関の医師と相談出来るシステムも作る予定です。早く始動したいので大急ぎで準備中です。
プライマリー・ケア医としては、肝炎の患者さんの対応の仕方を少しでも詳しく学ぶべく、真摯に企画にのぞみます。
B型肝炎ウイルスとC型肝炎ウイルスの検査、ぜひ受けて下さいネ。
世間ではお正月は過ぎ去り、鏡開きの時期かと思いますが、私は昨日追加の年賀状を書き終わりました。あ、出していない。出さなくては。
昨日、与賀神社の十日えびすに初めて行って来ました。数年分ためたお守りをお火焚きして貰えるよう預けて、お参りしてきました。病院の場合、無病息災と商売繁盛が矛盾してしまうので、1月から着任した、肝疾患医療支援学講座の運営がうまく行くようお祈りしてきました。
肝疾患医療支援学講座は、佐賀県の肝癌ワースト1位脱却を念頭において計画された企画書を、佐賀県に提出し、佐賀県から認められて予算が降り、佐賀大学内に出来た講座です。医学部内の肝疾患センターにあります。
佐賀県の肝癌ワースト1位は、12年目に突入するそうです。肝癌を減らすためには、まず、肝炎を減らすことです。そのために、肝炎ウイルスの健診を受けてもらうこと、肝炎ウイルスの感染がわかったら医療機関を受診して貰うこと、治療が必要な患者さんに(地域で)治療が導入されることを目指します。そのために、佐賀県中のデータを集めて、調査をしながら、精密検査や治療が必要そうな患者さんを抽出し、講座の医師がかかりつけ医療機関の医師と相談出来るシステムも作る予定です。早く始動したいので大急ぎで準備中です。
プライマリー・ケア医としては、肝炎の患者さんの対応の仕方を少しでも詳しく学ぶべく、真摯に企画にのぞみます。
B型肝炎ウイルスとC型肝炎ウイルスの検査、ぜひ受けて下さいネ。
2011年12月27日火曜日
変形性関節症の話
小さい講演会で変形性関節症の話がありました。
変形性関節症は、歳をとったり、運動や体重で関節に力がかかることで、関節の作りが壊れ、関節が痛くなったり、動かしにくくなる病気です。レントゲンでは、骨棘といって、骨の辺縁に棘が出来たり、関節の幅が狭くなったりします。
関節は、4型コラーゲン、ヒアルロン酸、プロテオグリカンで成り立っています。プロテオグリカンを作っているのがコンドロイチンやヒアルロン酸です。このプロテオグリカンが断片化したり、水分を含めなくなったりすることで、変形性関節症は始まります。
膝の変形性関節症は女性の方が多いと言われ、腰の変形性関節症は男性の方が多いと言われています。
国際的にはいろんなガイドラインがあるようですが、関節には血管が通っていないため、薬物を運ぶことも出来ず、根本的に治すには、人工関節を入れる手術しかないようです。手術の、費用に対する効果はバツグンで、一生内服を続けるより安いとされています。が、今後何年生きるかにも寄るでしょうから個人差があるでしょう。しかし、人工関節による運動の制限、使用期間とともに摩耗していくことは避けられないようです。今でもいろんな人工関節の種類が開発中のようです。
症状を緩和する方法はいろいろ勧められています。最も推奨されている治療は、姿勢などの教育、筋力トレーニング、体重を減らすことです。それから、痛み止め・・・COX-2阻害薬(セレコックス)やNSAIDs(ロキソニン)+プロトンポンプ阻害薬はどのガイドラインでも進められています。副作用を考えると、定期的に内服するなら、ロキソニンよりもCOX-2阻害薬の方が良く、その効果は胃カメラの所見で言うと2週間で差が出るようです。アセトアミノフェンは日本でも使える量が増え(1gまでOK)、湿布薬と共に、主な症状に対する治療になりうるようです。
ヒアルロン酸の関節注射のお薦め度は、人工関節やNSAIDsより劣り、重症度が弱から中の人に効果があると言われています。有名な論文では、偽薬(にせ薬)と同じくらい効果が「ある」、という結果があるようです。関節にヒアルロン酸を注射しても、注射がヒアルロン酸でなくても、痛みがとれ、しかもその効果は強い割合です。痛みがとれるなら、薬でも薬でなくても良いようですが、医療経済的に、と注射による合併症を考えると、残念ながらマイナスの要素が強いと思われます。グルコサミンやコンドロイチンの注射は、対症療法として使うならお勧め度は痛み止めの内服に比べると半分程度で、一部のガイドラインでは使わないことを推奨しています。
関節の研究は盛んに行われており、関節形成や破壊に関わるいろんな物質も見つかっていますが、関節に血流がないこともあり、副作用よりも大きい効果を得るには及ばないようです。
ヒアルロン酸注射が偽薬と同等に効果があるということに驚きました。偽薬も薬として使える日が・・・と思いましたが詐欺になってしまうでしょうか。外来でも出来る筋力トレーニングや姿勢、歩行などの教育方法を学ぶ必要があると思いました。
変形性関節症は、歳をとったり、運動や体重で関節に力がかかることで、関節の作りが壊れ、関節が痛くなったり、動かしにくくなる病気です。レントゲンでは、骨棘といって、骨の辺縁に棘が出来たり、関節の幅が狭くなったりします。
関節は、4型コラーゲン、ヒアルロン酸、プロテオグリカンで成り立っています。プロテオグリカンを作っているのがコンドロイチンやヒアルロン酸です。このプロテオグリカンが断片化したり、水分を含めなくなったりすることで、変形性関節症は始まります。
膝の変形性関節症は女性の方が多いと言われ、腰の変形性関節症は男性の方が多いと言われています。
国際的にはいろんなガイドラインがあるようですが、関節には血管が通っていないため、薬物を運ぶことも出来ず、根本的に治すには、人工関節を入れる手術しかないようです。手術の、費用に対する効果はバツグンで、一生内服を続けるより安いとされています。が、今後何年生きるかにも寄るでしょうから個人差があるでしょう。しかし、人工関節による運動の制限、使用期間とともに摩耗していくことは避けられないようです。今でもいろんな人工関節の種類が開発中のようです。
症状を緩和する方法はいろいろ勧められています。最も推奨されている治療は、姿勢などの教育、筋力トレーニング、体重を減らすことです。それから、痛み止め・・・COX-2阻害薬(セレコックス)やNSAIDs(ロキソニン)+プロトンポンプ阻害薬はどのガイドラインでも進められています。副作用を考えると、定期的に内服するなら、ロキソニンよりもCOX-2阻害薬の方が良く、その効果は胃カメラの所見で言うと2週間で差が出るようです。アセトアミノフェンは日本でも使える量が増え(1gまでOK)、湿布薬と共に、主な症状に対する治療になりうるようです。
ヒアルロン酸の関節注射のお薦め度は、人工関節やNSAIDsより劣り、重症度が弱から中の人に効果があると言われています。有名な論文では、偽薬(にせ薬)と同じくらい効果が「ある」、という結果があるようです。関節にヒアルロン酸を注射しても、注射がヒアルロン酸でなくても、痛みがとれ、しかもその効果は強い割合です。痛みがとれるなら、薬でも薬でなくても良いようですが、医療経済的に、と注射による合併症を考えると、残念ながらマイナスの要素が強いと思われます。グルコサミンやコンドロイチンの注射は、対症療法として使うならお勧め度は痛み止めの内服に比べると半分程度で、一部のガイドラインでは使わないことを推奨しています。
関節の研究は盛んに行われており、関節形成や破壊に関わるいろんな物質も見つかっていますが、関節に血流がないこともあり、副作用よりも大きい効果を得るには及ばないようです。
ヒアルロン酸注射が偽薬と同等に効果があるということに驚きました。偽薬も薬として使える日が・・・と思いましたが詐欺になってしまうでしょうか。外来でも出来る筋力トレーニングや姿勢、歩行などの教育方法を学ぶ必要があると思いました。
2011年12月20日火曜日
ワルファリンとダビガトラン
心臓が原因で起こる脳塞栓の予防治療は、血液が固まる機能を抑えることです。
血液の凝固機能を抑える薬には、ワルファリンが使われるのが一般的です。PT-INRという検査結果を指標に行います。70歳未満は2~3、70歳以上は1.6~2.6を目標にするというのがガイドラインですが、実際の現場ではPT-INR1.6では足りない印象があり、また、2.6では出血のリスクを考えて、PT-INR2.0弱を目標に細かく調整している様です。脳梗塞を起こした患者さんの平均PT-INRは1.2前後で、脳梗塞を起こした患者さんの8割以上の人が内服していない、もしくは内服していてもPT-INRが治療域に達していないようです。また、脳梗塞を起こしていない人でも、一般的には、3割くらいの人が治療域のINRからはみ出しているようです。
ワルファリンで凝固機能を抑えていると、脳梗塞を起こしても、起こした時の症状は飲まない場合より軽くてすむという結果があるようです。
ワルファリンの重要な副作用には、「出血」があります。消化管潰瘍からの出血、脳出血などです。
ワルファリンに抗血小板薬を追加すると、明らかに出血のリスクが上がることが分かっています。それでも併用を考える場合は、INRのコントロール良好でも脳梗塞が再発した場合、ラクナ梗塞やアテローム血栓性脳梗塞、一過性脳虚血発作の既往がある場合、虚血性心疾患を合併している場合、身体にステントが入っている場合です。
ワルファリンでPT-INRのコントロールが良い人は、出血が止まりにくくなっているので、大きな手術や外部から圧迫出来ない内視鏡の処置などがある場合は、3~5日前に中止し、ヘパリンでコントロールします(APTT1.5~2.5倍まで)。術後は、ヘパリンとワルファリンを同時に再開し、PT-INRが治療域に入るとヘパリンが中止されます。最近では、抜歯や白内障手術でも内服は辞めない方が良いと言われています。中止すると、5/500例は血栓塞栓症を起こすと報告されています。
ワルファリン内服者では、抗生剤で血中濃度が上がることがあり、注意が必要です。
ワルファリンを使ってはいけない人には、出血するような疾患を持つ人、肝障害を持つ人です。
凝固機能を抑える薬として、ダビガトラン(プラザキサ)も最近選択肢の一つとして上がっています。講演会の話をふまえつつ、比較してみました。
ダビガトラン
75mg132.6円×2=265.2円/日×30日=7956/月 3割負担で2386円/月
110mg232.7円×2=465.4円/日×30日=13962/月 3割負担で4188円/月
ワーファリン
1mg9.6円 1日5mg飲むとしても48円/日×30日=1400円/月 420円/月
一桁違うのは辛いですね。
タビガトランのメリット
ワルファリンより脳血栓塞栓症の予防により優れている
頭蓋内出血が少ない
消失が早い(12時間)緊急時にはすぐ辞めれる
効果発現が早い(2時間)
デメリット
消化器症状が多い、しかしPPIは吸収が低下するので併用出来ない。H2 拮抗薬を使う。
消失が早い→1日2回→飲み忘れに注意
指標が要らない、採血要らない、痛くない、その分安くなる(?)
ワソランと併用出来ない
腎機能注意!!
消化器からの出血に注意。
一包化出来ない。湿気を吸うから。
1日2回のむ必要がある。
まだ14日しか処方出来ない。
頭蓋内出血は、アスピリン、クロピドグレル、ワーファリン、ベラパミル、アミオダロン、NSAIDsとの併用でリスクが上がる。また、血圧のコントロールが大切になってくる。
健康と、お金は比べられないと考えると、ダビガトランがおすすめです。しかし、ワルファリンから乗り換えるには、PT-INRの測定など、少々手間が追加されるようです。患者さんのライフスタイルに合った、薬の選択が必要そうです。
血液の凝固機能を抑える薬には、ワルファリンが使われるのが一般的です。PT-INRという検査結果を指標に行います。70歳未満は2~3、70歳以上は1.6~2.6を目標にするというのがガイドラインですが、実際の現場ではPT-INR1.6では足りない印象があり、また、2.6では出血のリスクを考えて、PT-INR2.0弱を目標に細かく調整している様です。脳梗塞を起こした患者さんの平均PT-INRは1.2前後で、脳梗塞を起こした患者さんの8割以上の人が内服していない、もしくは内服していてもPT-INRが治療域に達していないようです。また、脳梗塞を起こしていない人でも、一般的には、3割くらいの人が治療域のINRからはみ出しているようです。
ワルファリンで凝固機能を抑えていると、脳梗塞を起こしても、起こした時の症状は飲まない場合より軽くてすむという結果があるようです。
ワルファリンの重要な副作用には、「出血」があります。消化管潰瘍からの出血、脳出血などです。
ワルファリンに抗血小板薬を追加すると、明らかに出血のリスクが上がることが分かっています。それでも併用を考える場合は、INRのコントロール良好でも脳梗塞が再発した場合、ラクナ梗塞やアテローム血栓性脳梗塞、一過性脳虚血発作の既往がある場合、虚血性心疾患を合併している場合、身体にステントが入っている場合です。
ワルファリンでPT-INRのコントロールが良い人は、出血が止まりにくくなっているので、大きな手術や外部から圧迫出来ない内視鏡の処置などがある場合は、3~5日前に中止し、ヘパリンでコントロールします(APTT1.5~2.5倍まで)。術後は、ヘパリンとワルファリンを同時に再開し、PT-INRが治療域に入るとヘパリンが中止されます。最近では、抜歯や白内障手術でも内服は辞めない方が良いと言われています。中止すると、5/500例は血栓塞栓症を起こすと報告されています。
ワルファリン内服者では、抗生剤で血中濃度が上がることがあり、注意が必要です。
ワルファリンを使ってはいけない人には、出血するような疾患を持つ人、肝障害を持つ人です。
凝固機能を抑える薬として、ダビガトラン(プラザキサ)も最近選択肢の一つとして上がっています。講演会の話をふまえつつ、比較してみました。
ダビガトラン
75mg132.6円×2=265.2円/日×30日=7956/月 3割負担で2386円/月
110mg232.7円×2=465.4円/日×30日=13962/月 3割負担で4188円/月
ワーファリン
1mg9.6円 1日5mg飲むとしても48円/日×30日=1400円/月 420円/月
一桁違うのは辛いですね。
タビガトランのメリット
ワルファリンより脳血栓塞栓症の予防により優れている
頭蓋内出血が少ない
消失が早い(12時間)緊急時にはすぐ辞めれる
効果発現が早い(2時間)
デメリット
消化器症状が多い、しかしPPIは吸収が低下するので併用出来ない。H2 拮抗薬を使う。
消失が早い→1日2回→飲み忘れに注意
指標が要らない、採血要らない、痛くない、その分安くなる(?)
ワソランと併用出来ない
腎機能注意!!
消化器からの出血に注意。
一包化出来ない。湿気を吸うから。
1日2回のむ必要がある。
まだ14日しか処方出来ない。
頭蓋内出血は、アスピリン、クロピドグレル、ワーファリン、ベラパミル、アミオダロン、NSAIDsとの併用でリスクが上がる。また、血圧のコントロールが大切になってくる。
健康と、お金は比べられないと考えると、ダビガトランがおすすめです。しかし、ワルファリンから乗り換えるには、PT-INRの測定など、少々手間が追加されるようです。患者さんのライフスタイルに合った、薬の選択が必要そうです。
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