2011年12月6日火曜日

ステロイドで起こる糖尿病の話

佐賀学会の続きです。

ステロイドは糖尿病を起こします。ステロイドの糖尿病には、インスリンが効きにくい体質があること、食後に高血糖を起こすことが多い、血糖は昼以降上がってくる、尿に糖が出やすいという特徴があります。なので、ステロイドの糖尿病に早く気づくためには、血糖測定は空腹時ではなく、適当な時間、特に午後の測定が良いようです。また、尿に糖が出ているのに血糖の数値が正常という場合も、測定のタイミングを変えて測定するなど、注意が必要です。

ステロイドによる糖尿病は、投与量より投与日数が大切です。3ヶ月で3人に2人は糖尿病を起こし、1年間でほとんどの人が糖尿病になると話されていました。が、投与量も投与日数ほどではないけど関係はしている様です。また、沢山の病院を受診されている方で糖尿病が急に悪化した方は、整形外科で関節にステロイドを注入していたりすることがあるので、私たちは病歴をきちんととる必要がありますし、患者さんも自分が受けている治療について知っておく必要があります。

ステロイドで糖尿病になっても、膵臓から出るインスリンの量が保たれていれば、内服の減量と共に元に戻れます。しかし、ステロイドの内服が長期必要となってくると、なかなか難しいというのが現状のようです。ステロイド20mgまでの内服は、経口の糖尿病薬(アクトス、メルビン、インクレチン製剤)でコントロール出来るようですが、それより増えるとインスリンの自己注射を使うことが多いようです。血糖は昼食後に上がってくることを念頭に置き、午後のインスリン量を増やします。ステロイドを減らした時は、インスリンが聞き過ぎて低血糖に注意し、同時にインスリン量も減らす必要があります。

注射のステロイドの方が副作用が少ないという報告があり、内服の方が簡便ではありますが、ステロイドの長期投与が必要な人は、注射の期間を延ばしても良いのではないか、という提言もありました。

入院中と家での療養の感染の危険はどちらが高いか、という質問がありましたが、これは未解決のようです。

私の内服量では、感染の危険が上がることはなさそうですが、骨折と糖尿病の危険はやや高めと思われます。B型肝炎ウイルスは測定済みですので大丈夫。骨密度の定期的な測定と食後の血糖は気をつけてみておこうと思いました。

それから、ステロイドの副作用の話がメインになってしまいましたが、ステロイドが、多くの病気に有効で、変わらず貴重な薬であることは確かです。下手に焦らず、お医者さんと相談して薬の量を調整したり、副作用を予防したりすることが大切です。急な中止は厳禁です!