2016年6月7日火曜日

暑くなってきました。梅雨ももうすぐです。

過ごしやすい季節が過ぎて徐々に暑くなってきました。
熱中症はまだまだ起きない印象ですが、油断は禁物。
暑いところでの作業時には、十分な水分と休憩を取ってくださいね。

尚、十分な水分とは…と、聞かれることがありますが、
おしっこの濃さや量を見るのが比較的簡単だと思われます。

腎臓は体内の水分が多いときは薄い尿をたくさん作り、
体内の水分が少ないときは濃ゆい尿を少量作ります。

尿の濃さが濃ゆく、ここ3~4時間トイレに行っていない…というのは赤信号です。

筋疲労や、筋けいれんが強い場合は内服、点滴が有用なことがあります。
ご相談ください。

記載:江口仁

2016年4月26日火曜日

大病院への紹介状

2016/4月の診療報酬改定で、大病院を直接受診出来るシステムはハードルがあがっています。
紹介状なしで、直接受診する場合は5000円追加で支払うことになります。
これまでも救急部門などでは受診費用アップでハードルを上げていたのですが、
今回の改定で通常の受診も出来にくくなっています。

これは大病院には高いレベルの医療に専念してほしいという厚生労働省の思惑です。
(厚生労働省が悪いってわけでなく、保険料を有意義に使えるように策を練ってくれているのです)
軽症で検査を本来はしないでいい患者さんが大病院を受診することが、
(多くは「不安である」という理由で)
検査が必要で、重症もしくは特殊な患者さんの診療機会を奪っているという流れを変えたいのでしょう。

患者さんとしては心配な時に大病院でいろいろ検査してほしいという気持ちがあるかもしれません。しかし、診断という面では、経験上多くはクリニックで対応可能ですし、9割以上が中病院で対応可能です。診断後専門的な加療が必要であれば、紹介されるでしょう。

保険診療としては、金銭的にも医療の流れとしてもいい方向に流れていくと思われます。
でないと、結局みんなの保険料があがってしまいます。

将来的には、大病院として初診を担当するのは苦手になる可能性もあります。
その代わり、中小病院が初診の診断能力が高まるのでしょう。
研修医レベルでいうと、大学での研修では初診を取ることがさらに困難になりそうです。

大病院は原則治療のみ。
診断は中小病院、診断困難な場合のみ大病院という能力が固定していくのかもしれません。

2016年4月12日火曜日

待ち時間

病院での「待ち時間」は気にされる方が多いと思います。

待ち時間について平成26年度 受療行動調査@厚生労働省を見てみましょう。
病院選択の理由や入院の状況などの解析もあるので、ぜひ原本も見ていただきたいですが、、、
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jyuryo/14/kakutei.html

今回のトピックである待ち時間についてみてみます。



全体的にはほとんど変化がないように見えます。
しかし、初診のみに注目してみてみると、特定機能病院、大病院、中病院は30分以上経過することのほうが多くなっています。

再診については大病院、中病院のほうが早く、初診については小病院が早いと言えそうなデータです。

つまり、高血圧、糖尿病などの定期処方については、どの大きさの病院にかかってもあまり変わらないと言えますが、初診に関しては小病院にしたほうが待ち時間は短いようです。
現場の感覚としては小病院は予約制を取っていないところが多く、来た順で診察することが多い気がします。

記載:江口仁

2016年3月29日火曜日

インフルエンザ感染症が下火になってきました。

最近は38℃に上がっていても、インフルエンザが検出される率(陽性÷全体の検査数)が下がってきています。
逆に言えば、38度を超える風邪が流行っているようです。

油断せず、手洗いうがいを続け、十分な睡眠時間を取りましょう。

記載;江口仁

2016年3月15日火曜日

地域医療と個人の満足度

地域医療という名前はすごく素敵に聞こえます。

しかし、これが自分、もしくは家族にとっては
我慢しなければならないことであるとしたらどう思いますか?

例えば、個人的には「もう少しゆっくり療養したい」ってことはよくありますよね。
「不安だからもう少し病院で様子を見たい」ってこともよくあります。

しかし、病状が安定している人が長く入院すると、今度は病状が悪い人たちが入院できません。

こういった例が「地域医療」と「個人の医療への満足度」との隙間になります。
地域医療の構想は、個人の満足度の増加と完全に比例するものではないということです。

医療提供者の立場では、集めた保険料をいかに効率よく、市場(というと語弊があるかもしれませんが、、、)還元できるかどうかが、地域医療に貢献する医者かどうかということになります。
上記の例でいうと、冷たく「駄目です、退院です」と言い切れる医者が地域医療にとっては良いということになります。

その他、医者としては、効果が高い検査や治療に精を出して、効果が低い検査や治療に手を出さないということでしょうか。
簡単に言いましたが、このやり方は少なくともある一定の人々を見捨てることになります。この言い方は感情的なので、ある一定の人々へのサービスの質、量を低下させることになります、と言いなおします。
極論すると価値の創造性がない人は根治的な治療の適応ではなくなり、対症療法のみとなります。
これもまた極論ですが、逆に多くの人を救いすぎる、すべての人を救おうとしすぎると、効率性が落ちます
(救うという語彙が単なる救命か手助けかによって意味はまたことなりますね)


これが正しい社会かどうかは、医療者だけでなく、みんなで決める必要があるでしょうね。
医療者だけで話し合うと意見が偏る可能性が高そうです。

高齢者だけでなく、中年、若年、青年、少年も含めた住民、行政、保険者、医療者が話し合って、最大多数の最大幸福を目指すべきではないでしょうか?
サービスの質を落として、保険料を落とす意見になったり、自分の家族を思うと逆にサービスをあげて、保険料をあげる意見が出たりしそうですね。

どんな結論になったとしても、みんなで考えたことに意義はあると思います。

記載:江口仁