2012年1月31日火曜日

ウイルス性肝炎とは

肝炎は、何らかの原因で肝臓に炎症が起こっている状態です。日本では、ウイルスによる肝炎が80%を占め、これを「ウイルス性肝炎」と言います。ウイルスにはいろんな種類がありますが、日本では、A型、B型、C型があります。中でも、慢性化して、肝硬変や肝がんの原因となりやすいのはB型、C型です。肝臓は、沈黙の臓器と言われ、肝炎を持っていても無症状のことが多いです。ほったらかし厳禁です。

肝硬変は、肝臓の細胞が死んで減ってしまい、硬い線維に変わっていき、肝臓の機能が弱ってしまう、治らない病気です。食欲不振、疲れやすい、黄色い皮膚、食道に静脈瘤が出来て吐血する、お腹に水が溜まる、足がむくむ、意識が悪くなる、などの症状があります。1年間に1割弱が肝がんを発症していきます。

肝がんは、その名の通り、肝臓に出来る癌です。肝がんの8割近くはC型肝炎ウイルス、2割近くはB型肝炎ウイルスによる肝炎によるものです。肝がんが進行した時の症状は、肝硬変と似ていますが、他に、肝がんが破裂してお腹のなかに多量に出血したり、骨に転移して痛みを生じたります。

佐賀県の肝がん死亡率は高く、長年対策に取り組んで来ましたが、ワースト1位を脱却するのは簡単なことではありません。元々、肝炎ウイルスを持っている人が多いのもありますが、多忙や短命にぽっくり逝くことを信じて治療したがらない風土(印象)、一昔前のインターフェロンの副作用の印象、一昔前のインターフェロンのウイルス退治成功率の低さ、それらを踏まえて、患者さんや医師の、治療に対する意欲の低さ(印象)などが、関係しているようです。もちろん、肝炎ウイルス検査の受診率も低く、宣伝も足りないようです。

肝疾患センターでは、そういう、治療を阻害する要因も明らかにしたい(証拠を掴みたい)、と思っています。

肝疾患センターのホームページです。
まだ、未熟ですが、肝疾患センターと共に、これから成長していきます。
クリック、クリックお願いします。
http://sagankan.med.saga-u.ac.jp

2012年1月24日火曜日

求める医師像、医師のあり方

医師会雑誌にあった簡単な記事を紹介します。

医療を受ける患者・住民50人、
医療人47人、
行政担当者19人、
医師を志す高校生41人、の計157人に対して行った質問の結果です。

●医師のイメージ。
忙しい、頭がいい、お金持ち、尊敬できる、が多い。
医療人にはお金持ちの比率が少ない。

●医師に求める資質。
判断力、誠実さ、コミュニケーション力が多い。
手の器用さやリーダーシップは少ない。

●医師は信頼出来るか。
ほとんど、もしくは一部の医師にで意見が別れる。

●自分の生活範囲での医師数。
不足している。特に医療人が深刻に捉えている。
総合医・家庭医を要するとの回答が専門医・研究医の約3倍。

●コンビニ受診、タクシー救急車の改善に必要なもの。
一般住民への教育活動。

●患者・住民、医療人、行政担当者の意思疎通について。
患者・住民⇔行政担当者間に問題がある。

医師は確かに忙しい。
昔とは意識がだいぶ変わってきているし医療界も変わろうとしているように思うけど、
医師不足ではなかなか厳しい。
お給料も、勤める病院や働き方で、負担も、時給も違う。不思議な制度。
リーダーシップは、医師個人には必要ないかもしれないが、医療界全体には必要。
総合医・家庭医として、自分を育てることも、人を育てることも大事。
教育って難しい。救急車を使うときの定義はあるのだろうか。
冷や汗が出るような耐えられない痛み、突然の麻痺、意識障害、出血多量は救急車ですね。
命や健康に関わることは、なかなか誰しも判断しがたいし責任もとれない。
自分のことや認知症となるとますます冷静な判断がしにくい。
一人の夜は不安をあおる。難しい問題ですね。
患者・住民も、医療人も、行政も、意思疎通のために発信していかなくてはいけませんね。

顔も見えない医師を志す高校生41人に期待。
そして、自分も、誠実に、頑張ります。

2012年1月10日火曜日

明けましておめでとうございます。

明けましておめでとうございます。

世間ではお正月は過ぎ去り、鏡開きの時期かと思いますが、私は昨日追加の年賀状を書き終わりました。あ、出していない。出さなくては。

昨日、与賀神社の十日えびすに初めて行って来ました。数年分ためたお守りをお火焚きして貰えるよう預けて、お参りしてきました。病院の場合、無病息災と商売繁盛が矛盾してしまうので、1月から着任した、肝疾患医療支援学講座の運営がうまく行くようお祈りしてきました。

肝疾患医療支援学講座は、佐賀県の肝癌ワースト1位脱却を念頭において計画された企画書を、佐賀県に提出し、佐賀県から認められて予算が降り、佐賀大学内に出来た講座です。医学部内の肝疾患センターにあります。

佐賀県の肝癌ワースト1位は、12年目に突入するそうです。肝癌を減らすためには、まず、肝炎を減らすことです。そのために、肝炎ウイルスの健診を受けてもらうこと、肝炎ウイルスの感染がわかったら医療機関を受診して貰うこと、治療が必要な患者さんに(地域で)治療が導入されることを目指します。そのために、佐賀県中のデータを集めて、調査をしながら、精密検査や治療が必要そうな患者さんを抽出し、講座の医師がかかりつけ医療機関の医師と相談出来るシステムも作る予定です。早く始動したいので大急ぎで準備中です。

プライマリー・ケア医としては、肝炎の患者さんの対応の仕方を少しでも詳しく学ぶべく、真摯に企画にのぞみます。

B型肝炎ウイルスとC型肝炎ウイルスの検査、ぜひ受けて下さいネ。