2016年8月30日火曜日

禁煙できないのは本人の意志なのか?

今遺伝子解析が進み、喫煙と親和性のある性格や遺伝子が分かってきています。

これまでは、遺伝子解析で、この遺伝子があるとこの病気が発症しやすいなどがよく発表されてきました。
癌関連や、膠原病関連などでも遺伝子の報告があっています。
この遺伝子の解析が性格的な分野まで徐々に入ってきています。
これまでの研究でも性格や幸せな感覚も遺伝性があるとされてきました。
これは一卵性双生児などの統計的解析によります。

最近の研究で、統合失調症のある遺伝子と喫煙の親和性が高いデータが出ています。
つまり、喫煙してよかったーと思える程度が他の人より強い、もしくは遺伝的に依存が形成しやすいようです。
経験上は後者の要因が強い印象で、喫煙に依存しやすい人は、薬にも依存しやすく、医療用麻薬にも、お酒にも、人間関係にも依存しやすい印象です。

つまり、依存とは本人の意志力ではなく体質ともいえます。
体質だから仕方ないと言っていては話が進まないのですけども、
努力不足であると一言で言い切ることは私には出来ません。

超えるハードルを低くして、ライバル行動を減らし、認知行動療法なども取り入れ、
諦めずやっていくしかないのではないでしょうか?

記載:江口仁

2016年8月23日火曜日

医師の偏在はコミュニティの崩壊の一部

久々の投稿となりました。


今日の話題は「全国の医師の勤務先などの情報集めたデータベース作成へ」
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160820/k10010643151000.html
です。

先日、NHKで報道され、ネットでも話題になりました。
医師の勤務先や所属する科をデータベース化するというお話です。

記事の中では、足りない科の医師を把握するというのが理由となっています。
しかし、医師がこの手の報道に敏感なのかと言えば、その理由の一つにあがるのは
「職業の自由や住居の自由を奪われるのではないか?」
という不安です。
実際、海外ではどの科に進むのかなどは制限されていたりしています。

日本の医師は医師免許を取得した後は研修医を経て、自分の好む科に進みます。
各科によって行う業務や病態がかなり違うので、やりがい、収入、訴訟リスク、ワークライフバランスなどを模索しつつ進路を決めます。
研修医としては、乳幼児、小児に対する訴訟リスクが高いことやお産が時間を選べないことも重々分かっているでしょう。また、少子化時代に患者さんが少ない科に行くことは、20年、30年後に職種として食っていけない可能性も考えることでしょう。

記事の中で、小児科、産婦人科が敬遠されている理由の一つと思われます。

また、すでに厚生労働省は必要医師数実態調査を行っています。
細かな情報の把握は強制的な配備を思わせるが故に医師は不安になっているものと考えられます。

では、僻地の医療をどう支えるのか。
限界集落に医師が居ても、既にコミュニティが崩れていっています。
つまり、医師の偏在はコミュニティの崩壊の一部であるともいえます。