2016年12月27日火曜日

お正月には「死」について語ることをお勧めします

通常タブーとされる死について家族内で話すことはなかなかないでしょう。
それが比較的話しやすいのは、「お正月」と「誕生日」です。
おめでたい日ですが、一歩死に近づいた日です。



・なぜ死について話すべきなのか

1.終末期の医療について自分や家族が困らないように
終末期の医療は生への渇望と、倦怠感や疼痛からの逃避と、家族の不覚悟、エゴが混ざり合います。
自分では不要と思っていた終末期の延命治療などをすることになったり、
子供は親の死ぬタイミングを自ら決めるというストレスに晒されることになります。
子供がとった選択肢について、他の親戚がクレームをつけることもあります。
事前に話し合って、自分がこうしたいという意思があれば皆ハッピーです。
本人がそうしたいと言っているといえば、だれも文句は言えません。

2.死について話すとよりよく生きることが出来る
死を意識すれば、よりよく生きようというモチベーションになります。
数週間前に死を意識している人の活動は死を意識していない人の活動よりよりいいという研究結果が出ていたようです。
子供、家族は死を意識すれば早めの親孝行ができます。
仕事や家庭が忙しいと言って、親孝行のタイミングを逃す、そんなこともあります。


・何について話すのか

1.食べることが出来なくなった時の医療について
「自分でめしが食えんくなったときにどがんすんね?」

老衰で食べられない、病気で食べられない、認知症で拒食になるなど、人の多くは死ぬ前に食べることが出来なくなっていきます。
その時に、点滴や胃ろう(胃ろうは制度上できなくなりつつありますが、、、)、経鼻栄養などをするのか。
食べることが出来る範疇でいくのか。

2.予防や侵襲的な検査、治療について
「きったりはったり、まだすんね?」
年齢が上がるにつれて、予防的な検査のメリットが低下していきます。
50歳で早期の大腸がんが見つかれば、運命は10年20年変わるでしょう。
しかし、80歳で大腸がんが見つかっても、運命は10年20年変わらないでしょう。
その他の病気や治療に耐えることが出来ないからです。
(*年齢で決めつけず、本人の体力を考えるべきですが疫学的に分かりやすい例としました)


病気や死は思ったより身近にあります。
30歳で大腸がんや甲状腺がん
50歳で脳梗塞で食事が不可能になる
60歳でくも膜下出血で反応がなくなる

一方、90歳超えても元気な方もおられます。

人は強く、弱いものです。

是非、今年のお正月には、今年の抱負に、死について一言を加えてくださいね。

記載:江口仁

2016年12月23日金曜日

年末年始の診療のお知らせ

今年もあと数日残すのみとなりました。

2016年年末の診療日は下記のとおりです。

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12月28日(水) 午前、午後ともに診療
12月29日(木) 午前中のみ診療
12月30日(金) 午前中のみ診療

12月31日(土)より2017年1月3日(火)まで休診

1月4日(水) 午前、午後ともに診療

*****************************

以降は、通常通りの診療日となります。

定期薬が連休中に切れてしまわないようにご注意ください。

尚、インフルエンザワクチンは12月中は予約なしで接種が可能ですが、非常に混みあった場合は不足する可能性があります。

では、風邪をひかないように、手洗いうがいを欠かさず、人混みを出来るだけ避けてお過ごしください。
子供たちが冬休みに入っており、毎年ショッピングモールは感染率が高くなっている印象があります。

記載:江口仁

2016年12月20日火曜日

インフルエンザの流行期に入っていますが、、、

38度を超える発熱の患者さんにインフルエンザ検査キットで精査するも検出しないことが多いですね。
感冒症状で受診した患者さんの1割程度です(感覚的に)。
尚、有効期であれば症状などから検査はせずとの診断は下すことが出来ます。

ちなみに、持病がない体力のある成人は感染に対して神経質になりすぎても意義が乏しいです。
インフルエンザといっても全員高熱が出るわけでもなく、咳だけのこともあります。(論文で見たことがあります)
更に無症状に近い人もいます。なぜわかるかと言われると、無症状だけど検査希望の人がいるからです。

ですので、感染拡大予防に対してインフルエンザの検査キットはあまり有用な印象はありません。
(論文ではみたことないですね)
更に治療の面で言えば、症状を早く抑える抗インフルエンザ薬を症状が軽い人が使うメリットは少なく、やはり検査の意義は乏しくなります。

むしろ大切なのは発熱時には休むことや咳エチケットです。
何より手洗い、うがいをしっかりして、睡眠時間を十分にとりましょう。

記載:江口仁

2016年11月29日火曜日

AIの時代がやってくる


慶大のAI、医師試験合格に近づく 正答率55%超に
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGG17H3Y_X11C16A1TJM000/

医療にもAIが活躍してくれそうです。
AIが徐々に進化して、国家試験にはもうすぐ合格しそうですね。

医師の仕事ももっと変わっていくでしょう。と、言うより変わっていかねばなりません。

・風邪かどうかが心配である
・悪性腫瘍があるかどうか心配である

こういった心配に対してはAIは強いと思われ、風邪の可能性が〇%、悪性腫瘍の可能性が〇%と出てくるでしょう。これで安心安心。



医療とは、ただの手仕事ではなくアートである。

有名な臨床医オスラーさんはそう言っています。
勿論科学も大切って言っていますのでご安心を。

おそらくAIは科学的な部分を大きく担ってくれます。
その時、医療者はアートの部分を担う必要があるのかもしれません。

記載:江口仁

2016年11月15日火曜日

Living will

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リビング・ウィル英語living will)とは、生前の意思という意味英語の音訳。生前に行われる尊厳死に対してであれば「尊厳死の権利を主張して、延命治療の打ち切りを希望する」などといった意思表示のこと。

Wikipediaより

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個人的な経験ですが、高齢者施設から運ばれてきたときに、延命治療を含めた処置について意思決定がされていないことが多いです。

高齢者施設に入所すると言うことは、相応に弱っているということです。
介護度が出るということは、相応に弱っているということです。

是非、入所に至った場合や介護度の申請をした場合は、家族間でリビングウィル、延命治療の有無、食事がとれなくなった時の対応などについて話し合いましょう。
本当にぎりぎりになったときには、本人は話せないこともありますし、意思表示が難しいときもあります。

また、病状が悪化した時に、辛い話はしたくないのが人情です。
誕生日や米寿などのお祝いの席で話すことをお勧めします。

命は強いものであり、はかないものでもあります。



記載:江口仁

2016年11月8日火曜日

インフルエンザワクチンの接種が始まりました

インフルエンザワクチンの接種が始まりました。
基礎疾患がある患者さんや体力が落ちている年配の方にはお勧めです。
接種することで、重症化予防や入院しなくて済む可能性が高まる報告があります。

*お値段*
65歳未満は3500円
65歳以上は1500円(佐賀市など)

火曜日、水曜日の午後の接種は比較的待ち時間が短い傾向にあります。
12月初旬までは予約不要ですので、体調がいいときに来院をお願いします。

最近は流行が早かったり、遅かったりするので打つタイミングが難しいですが、
10月末~12月初旬に打つ方が多いですね。

2016年10月18日火曜日

マスコミの医療を否定する報道に対する見解

週刊誌に高コレステロール血症の内服薬などの内服薬を否定する記事が出てから、
数は少ないですが、患者さんに「この薬飲んでいていいの?」と聞かれることがあります。

その質問に対する私の答えは……

現在のガイドライン(医療の教科書的なもの)はどうやってできていくかというと、
肯定的な論文、否定的な論文が沢山積み重なって作られていきます。

一つ一つの研究が積み重なって、メタ解析(大きなデータとして再度解析したり)、
レビューといって一つ一つの研究を読み込んで、研究の質や量を確認していきます。
もちろん中には飲まなくていいという論調のものもあると思います。
しかし、総意として飲んだほうがいいというときに「飲むべし」というお話になります。

尚、医師の中には「この研究がいい研究であるから、他の論文と比べて治療戦略に優先的に取り入れる」ということもあり、医者ごとの治療方針の違いになったりしていきます。

このように一つの論文で決めることなく、様々な論文を積み重ねて判断していきます。

ですから、画期的な治療の論文が一つ出たとしても、私自身はまだふーんとしか思いません。( ´_ゝ`)フーン
その後2~3本同様の論文が出てくると、世の中の論調としてこの方向性にあるのだなー。と考えていきます。

もし、過剰な医療や過剰な検査が気になるのであれば、週刊誌を読むより、
Choosing wisely Japanなどのサイトを訪ねてみるほうがお勧めですよ。

記載:江口仁

2016年10月11日火曜日

インフォームドコンセント(説明と同意)とパターナリズム

インフォームドコンセントとは、説明と同意。

A治療は、〇のリスクがあり、△の治療率です。
B治療は、〇のリスクがあり、△の治療率です。
C治療は、、、

パターナリズムとは、強い立場にある者が、弱い立場にある者の利益になるようにと、本人の意志に反して行動に介入・干渉すること(Wikipedia)

貴方はA治療だ。
(説明なしに)では、薬を出します。


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日本では、パターナリズムが先行して病状説明、治療がなされてきました。
あまりにもパターナリズムが多くなり、インフォームドコンセントが台頭してきました。
自分で方針を決めなさい。患者さんの自己決定権の復権です。

しかし、臨床では決めれないことが多々です。
パーセンテージだけでは、どうしていいのかわからなくなることが多いのです。
一つの理由として、日本人は西洋人と比較して、自己決定を好まない人種とのことです。

寿司屋では、お勧め。
ランチはAセット。

結局は主治医と相談しつつ、「お勧め」を選ぶこととなるのでしょう。

2016年9月20日火曜日

第13回 病院総合診療医学会に参加してきました

病院総合診療医学会に参加してきました。

これからの医療のコンセプト、ビジョンを考えるだけでなく、総合診療医としてのアイデンティティをどうするのかなど非常に勉強になりました。

また、稀な疾患の報告もある学会なので、最近の注目されている診断なども多く発表されています。治療可能な疾患を見逃さないように知識の刷新も重要です。

勉強した内容と旅費を地域に還元せねばなりません。
コンセプト、ビジョンは今は約に立たないでも10年後に役立つでしょう。

*総合診療科ってどんなところ?という人のためにサイトをリンクしておきます。
http://hgm-japan.com/general/info.php

記載:江口仁

2016年9月13日火曜日

小医は病を癒し、中医は人を癒し、大医は国を癒す

小医は病を癒し、中医は人を癒し、大医は国を癒す

公衆衛生の大切さを説くフレーズです。
最近では、ワクチン行政や、ジカ熱、麻疹などのコントロールが話題になっています。
これまでは、上下水道の整備、ワクチン、食糧事情の改善などが、人の余命を伸ばしてきたのだと思います。

現代では、医療は細分化され小医が多くなったともいえますし、昔よりより多くの知識が必要になってきている事実もあります。
つまり、小医、中医、大医で誰がえらいとか賢いとかが問えない時代ともいえます。

その人なりの役割や責任を果たす時代です。


ジェネラリスト、一般内科医、プライマリケア医は通常中医に近いと思われます。
が、個人的に目指したいのは中の上医、やや大医に寄った存在になれればと思います。
診察をしていて、いかに予防医学が大切か、人と人とのつながりや社会性、文化が大切か実感するこの頃です。

ただ、予防は治すことより簡単ですが、症状がないために努力し続けることが難しいですね。

記載:江口仁

2016年9月6日火曜日

合宿とリハビリ

リハビリとは合宿である。
自動的になおして「もらう」ところではない。

きついトレーニング、好むものだけ食べるわけにいかない食事、良いコーチ、そして自主トレ。
きつくないトレーニング、好きなものだけ食べる、コーチはいない、自主トレはしないでは、選手も強くならない。リハビリも進まない。

リハビリが進む患者さんとは
1.自主性がある
2.少しきついが繰り返せる(無理をすることとは違う)
3.食事がしっかり食べられる
以上の3つの項目が大切だと思っている。

しかし、最近大切な要素にもう一つ気付いた。

「継続性」である。

退院後に続けなければ、来た道をまた戻っていくだけである。
一方、継続性を保つことは非常に困難である。

継続性についてはまた話題に上げたいが、要点は「意志力に頼るな」である。

記載:江口仁

2016年8月30日火曜日

禁煙できないのは本人の意志なのか?

今遺伝子解析が進み、喫煙と親和性のある性格や遺伝子が分かってきています。

これまでは、遺伝子解析で、この遺伝子があるとこの病気が発症しやすいなどがよく発表されてきました。
癌関連や、膠原病関連などでも遺伝子の報告があっています。
この遺伝子の解析が性格的な分野まで徐々に入ってきています。
これまでの研究でも性格や幸せな感覚も遺伝性があるとされてきました。
これは一卵性双生児などの統計的解析によります。

最近の研究で、統合失調症のある遺伝子と喫煙の親和性が高いデータが出ています。
つまり、喫煙してよかったーと思える程度が他の人より強い、もしくは遺伝的に依存が形成しやすいようです。
経験上は後者の要因が強い印象で、喫煙に依存しやすい人は、薬にも依存しやすく、医療用麻薬にも、お酒にも、人間関係にも依存しやすい印象です。

つまり、依存とは本人の意志力ではなく体質ともいえます。
体質だから仕方ないと言っていては話が進まないのですけども、
努力不足であると一言で言い切ることは私には出来ません。

超えるハードルを低くして、ライバル行動を減らし、認知行動療法なども取り入れ、
諦めずやっていくしかないのではないでしょうか?

記載:江口仁

2016年8月23日火曜日

医師の偏在はコミュニティの崩壊の一部

久々の投稿となりました。


今日の話題は「全国の医師の勤務先などの情報集めたデータベース作成へ」
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160820/k10010643151000.html
です。

先日、NHKで報道され、ネットでも話題になりました。
医師の勤務先や所属する科をデータベース化するというお話です。

記事の中では、足りない科の医師を把握するというのが理由となっています。
しかし、医師がこの手の報道に敏感なのかと言えば、その理由の一つにあがるのは
「職業の自由や住居の自由を奪われるのではないか?」
という不安です。
実際、海外ではどの科に進むのかなどは制限されていたりしています。

日本の医師は医師免許を取得した後は研修医を経て、自分の好む科に進みます。
各科によって行う業務や病態がかなり違うので、やりがい、収入、訴訟リスク、ワークライフバランスなどを模索しつつ進路を決めます。
研修医としては、乳幼児、小児に対する訴訟リスクが高いことやお産が時間を選べないことも重々分かっているでしょう。また、少子化時代に患者さんが少ない科に行くことは、20年、30年後に職種として食っていけない可能性も考えることでしょう。

記事の中で、小児科、産婦人科が敬遠されている理由の一つと思われます。

また、すでに厚生労働省は必要医師数実態調査を行っています。
細かな情報の把握は強制的な配備を思わせるが故に医師は不安になっているものと考えられます。

では、僻地の医療をどう支えるのか。
限界集落に医師が居ても、既にコミュニティが崩れていっています。
つまり、医師の偏在はコミュニティの崩壊の一部であるともいえます。

2016年7月19日火曜日

医者の病状説明

Twitterでは、医者は病状説明に時間をもっとかけるべきだという意見と、そんな時間はないという意見が対立しているようです。

個人の見解としては、
説明の質も医療の質の一部ですから、気に食わないならば医者を変えるだけでいいのではないかと思います。
1年目の医者の説明と10年目の医者の説明、20年目の医者の説明の質と時間が食い違うのは当然です。
また、専門家、非専門家、開業医、勤務医でも説明内容は異なるでしょう。

一般的には、人気な外来は徐々に待ち時間が長くなり、徐々に長時間説明する時間がなくなります。それが気に食わない患者さんは離れていきます。
話をすることに慣れた医者になれば、知りたい要点を分かりやすく話すことによって時間を短縮できる可能性があります。
また、あまりにも同様の疾患が多くなった場合は参考資料などを作って、手渡しして説明する時間を省略する場合もあります。

記載:江口仁

2016年7月12日火曜日

熱中症と蜂に注意!?

徐々に暑くなってきました。
そのためか、徐々に熱中症疑いの患者さんの来院数が増えている印象があります。
水分・塩分だけでなく、休憩もしっかりとりましょう。

また、何故かここ数日で5人以上の蜂刺傷の患者さんも多くこられます。
ネット上での情報でしかありませんが、7月の暑くなる時期にアシナガバチやスズメバチが攻撃的になるようですね。ミツバチは夏はおとなしいようです。
確かにアシナガバチに刺された人ばかりでした。
蜂にさされて、全身反応(刺されたところ以外の皮疹、呼吸苦、動機、下痢など)の症状が出現した場合は救急車を要請しましょう!

2016年6月14日火曜日

医者=科学者+牧師やお坊さん

一般内科医という今の仕事が、科学者と牧師さんやお坊さんの真ん中ではないか?と最近感じています。

医師は通常科学として西洋医学を中心に学びます。
その科学を使ってなぜ治療をするのか、どういった生活をするのかは、
最終的には生き方に関わっていくことになります。

どういう治療をするのかも、どんなふうに生きていたいのか、
そして、逆にどう死にたいのかも生き方に関わっていきます。

一般内科医としては、どう生きたいのかに寄り添って治療方法を選びたいと思っています。
太く短い人生、細く長い人生、辛くとも挑戦したいのか、もう辛さなどからは逃げ出したいのか。

しかし、時々問われます。
本人から どう生きればいいでしょう?
家族から この人の人生はこれでいいのでしょうか?

どう生きるべきなのかを求め勉強しているのは牧師さんやお坊さんではないでしょうか?
僕には完全な正解は分かりませんが、どの生き方でも幸せに生きれれるように手助けがしたいなと思っています。
また、どんな選択肢であっても最後はきつくないように手助けが出来ればと思っています。

記載:江口仁

2016年6月7日火曜日

暑くなってきました。梅雨ももうすぐです。

過ごしやすい季節が過ぎて徐々に暑くなってきました。
熱中症はまだまだ起きない印象ですが、油断は禁物。
暑いところでの作業時には、十分な水分と休憩を取ってくださいね。

尚、十分な水分とは…と、聞かれることがありますが、
おしっこの濃さや量を見るのが比較的簡単だと思われます。

腎臓は体内の水分が多いときは薄い尿をたくさん作り、
体内の水分が少ないときは濃ゆい尿を少量作ります。

尿の濃さが濃ゆく、ここ3~4時間トイレに行っていない…というのは赤信号です。

筋疲労や、筋けいれんが強い場合は内服、点滴が有用なことがあります。
ご相談ください。

記載:江口仁

2016年4月26日火曜日

大病院への紹介状

2016/4月の診療報酬改定で、大病院を直接受診出来るシステムはハードルがあがっています。
紹介状なしで、直接受診する場合は5000円追加で支払うことになります。
これまでも救急部門などでは受診費用アップでハードルを上げていたのですが、
今回の改定で通常の受診も出来にくくなっています。

これは大病院には高いレベルの医療に専念してほしいという厚生労働省の思惑です。
(厚生労働省が悪いってわけでなく、保険料を有意義に使えるように策を練ってくれているのです)
軽症で検査を本来はしないでいい患者さんが大病院を受診することが、
(多くは「不安である」という理由で)
検査が必要で、重症もしくは特殊な患者さんの診療機会を奪っているという流れを変えたいのでしょう。

患者さんとしては心配な時に大病院でいろいろ検査してほしいという気持ちがあるかもしれません。しかし、診断という面では、経験上多くはクリニックで対応可能ですし、9割以上が中病院で対応可能です。診断後専門的な加療が必要であれば、紹介されるでしょう。

保険診療としては、金銭的にも医療の流れとしてもいい方向に流れていくと思われます。
でないと、結局みんなの保険料があがってしまいます。

将来的には、大病院として初診を担当するのは苦手になる可能性もあります。
その代わり、中小病院が初診の診断能力が高まるのでしょう。
研修医レベルでいうと、大学での研修では初診を取ることがさらに困難になりそうです。

大病院は原則治療のみ。
診断は中小病院、診断困難な場合のみ大病院という能力が固定していくのかもしれません。

2016年4月12日火曜日

待ち時間

病院での「待ち時間」は気にされる方が多いと思います。

待ち時間について平成26年度 受療行動調査@厚生労働省を見てみましょう。
病院選択の理由や入院の状況などの解析もあるので、ぜひ原本も見ていただきたいですが、、、
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jyuryo/14/kakutei.html

今回のトピックである待ち時間についてみてみます。



全体的にはほとんど変化がないように見えます。
しかし、初診のみに注目してみてみると、特定機能病院、大病院、中病院は30分以上経過することのほうが多くなっています。

再診については大病院、中病院のほうが早く、初診については小病院が早いと言えそうなデータです。

つまり、高血圧、糖尿病などの定期処方については、どの大きさの病院にかかってもあまり変わらないと言えますが、初診に関しては小病院にしたほうが待ち時間は短いようです。
現場の感覚としては小病院は予約制を取っていないところが多く、来た順で診察することが多い気がします。

記載:江口仁

2016年3月29日火曜日

インフルエンザ感染症が下火になってきました。

最近は38℃に上がっていても、インフルエンザが検出される率(陽性÷全体の検査数)が下がってきています。
逆に言えば、38度を超える風邪が流行っているようです。

油断せず、手洗いうがいを続け、十分な睡眠時間を取りましょう。

記載;江口仁

2016年3月15日火曜日

地域医療と個人の満足度

地域医療という名前はすごく素敵に聞こえます。

しかし、これが自分、もしくは家族にとっては
我慢しなければならないことであるとしたらどう思いますか?

例えば、個人的には「もう少しゆっくり療養したい」ってことはよくありますよね。
「不安だからもう少し病院で様子を見たい」ってこともよくあります。

しかし、病状が安定している人が長く入院すると、今度は病状が悪い人たちが入院できません。

こういった例が「地域医療」と「個人の医療への満足度」との隙間になります。
地域医療の構想は、個人の満足度の増加と完全に比例するものではないということです。

医療提供者の立場では、集めた保険料をいかに効率よく、市場(というと語弊があるかもしれませんが、、、)還元できるかどうかが、地域医療に貢献する医者かどうかということになります。
上記の例でいうと、冷たく「駄目です、退院です」と言い切れる医者が地域医療にとっては良いということになります。

その他、医者としては、効果が高い検査や治療に精を出して、効果が低い検査や治療に手を出さないということでしょうか。
簡単に言いましたが、このやり方は少なくともある一定の人々を見捨てることになります。この言い方は感情的なので、ある一定の人々へのサービスの質、量を低下させることになります、と言いなおします。
極論すると価値の創造性がない人は根治的な治療の適応ではなくなり、対症療法のみとなります。
これもまた極論ですが、逆に多くの人を救いすぎる、すべての人を救おうとしすぎると、効率性が落ちます
(救うという語彙が単なる救命か手助けかによって意味はまたことなりますね)


これが正しい社会かどうかは、医療者だけでなく、みんなで決める必要があるでしょうね。
医療者だけで話し合うと意見が偏る可能性が高そうです。

高齢者だけでなく、中年、若年、青年、少年も含めた住民、行政、保険者、医療者が話し合って、最大多数の最大幸福を目指すべきではないでしょうか?
サービスの質を落として、保険料を落とす意見になったり、自分の家族を思うと逆にサービスをあげて、保険料をあげる意見が出たりしそうですね。

どんな結論になったとしても、みんなで考えたことに意義はあると思います。

記載:江口仁

2016年3月8日火曜日

花粉症の季節になってきました

梅の花も終わりが近づいてきたのでしょうか?当院の庭の梅の花も徐々に枯れつつあります。
しかし、もうすぐ桜の時期だと思うと心躍りますね。

一方、この時期心躍らない方々もおられるのではないでしょうか?
そう、花粉症です。
大体この時期から4月末まで、、、長いとゴールデンウイークまでという期間ですね。
花粉の治療も徐々に多様化しており、内服一本ではなくなってきました。
減感作療法なども含めて、あらゆる選択肢を考慮したいところです。

尚、当院では特殊な治療は行っておりません(笑)
一般的な内服中心の加療になります。

2016年1月26日火曜日

インフルエンザ

とうとう今年もインフルエンザのシーズンになってきました。
A型、B型ともに出ていますが、A型が優位にでています。

ただし、今回の大雪で少し減るのではないかと予測しています。
寒いのになんで?と思われるかもしれませんが、人の動きが寸断されたためです。
インフルエンザにかかるためには、隣にインフルエンザの人の接触が必要です。
南極に裸で一人立っていても、インフルエンザにはかかりません。

マスクと2mほどの距離があれば、インフルエンザの人から出る(特に咳嗽)ウイルスはかなり減ると言われていますので、家族がかかった場合は部屋を隔離してマスクをしましょう(かかった人が)。

このシーズンの人混みはかなり感染しやすいです。
映画館やショッピングモールなどは十分に注意してください。
とはいえ、学校、幼稚園、職場が中心に感染が広がっている印象が強いですから参考程度にですね。。。

2016年1月12日火曜日

風邪の予防

前回の話の流れで風邪の話題です。

よく患者さんから「こじらせたくない、早く治したい」というお話を聞きます。
当然ですよね。
自分自身も(特に開業医は変わりがいませんから)こじらせたくないし、早く治したいし、まず予防したいです。

さて、こじらせたくない、早く治すために有用なのは何でしょうか?
現在の私の理解では、睡眠、水分、栄養です。

あれ?薬は?と思うでしょうが、薬は症状の緩和に使っており、根本的な治療ではありません。
感冒の原因は風邪ウイルス。
風邪ウイルス自体を減らす、殺す、増殖を抑える薬は存在しません。
抗生剤、抗菌薬は細菌感染に効果がありますが、ウイルスには効果がなく(早く治らない)、
こじらせない効果もありません。

それどころか、消化器症状の副作用や薬の飲み合わせが懸念されます。
(糖尿病や血をサラサラにする薬で最近よく悪い報告が出ています)
また、地域に耐性菌と言われる抗生剤がのさばることにもなっていきます。

風邪の受診に医療者が一番気をつかうのは、
内服の調剤よりも、本当に風邪かどうかの診断だと思っています。

記載:江口仁

2016年1月5日火曜日

謹賀新年

明けましておめでとうございます。

当院は2016/1/8より通常業務が開始しました。
ぐっと冷え込んできたためか、感冒の患者さんが多く来院されています。

風邪の予防は手洗い、うがい、睡眠時間。
風邪の治療は安静が一番であとは水分摂取、サポートに内服です。

今年もどうぞよろしくお願いいたします。