2015年6月24日水曜日

予後1年の患者さんのスタチンは辞めても良いよ、の論文紹介。

抄読会で読んだ論文の紹介です。

癌などの理由で、後生きられるのは1ヶ月~1年と予想される患者さんが、
ここしばらく心血管系の病気を起こすことなくスタチン(高脂血症の薬)を飲んでいた場合、
そのスタチンを辞めたらどうなるか、の研究論文です。

結果、どうもならない。
スタチンを辞めなかった人たちと比べて、
早く亡くなる訳でもなく、
心血管系の病気を起こす訳でもない。

スタチンは、心血管系の病気を起こさないための予防や
病気を起こした人が次に心血管系の病気を起こさないための予防で内服することが多いですので、
この結果は、予後の短い患者さん限定ですが、
スタチン辞めても良いよ、ということになります。

薬を辞めるのは勇気が要ります。
高齢の患者さんに対して、
必要のないお薬じゃないかな、と思いながら処方し続けたり、
患者さんも変化を嫌がって内服を希望されることが多いですが、
薬を1つ減らすだけで患者さんの生活の質は上がるし、
余計な副作用を考える必要もなくなります。

あなたの予後は1年未満です、とはなかなか限定しにくいので、
もう少し長い予後、
高齢者の5年、10年での検討が欲しいなというところですが、
ご高齢中のご高齢の方(90歳以上とか?)は、
辞めることを検討しても良いかと思います。
そもそもだんだん食が細くなるので、
コレステロールが上がることは少ないように思いますので、
辞めてみての再評価も必要ですね。

薬を出す時は辞める時のことを考えながら出したいものです。