2011年10月4日火曜日

お腹のレントゲン写真でわかること。

「先日の学会で、お腹のレントゲン撮影で分かること」というセミナーがありました。

CTは買うにも借りるにも値段も高く、撮った写真を読むのもレントゲンより難しく、多くの診療所では置いていないことが多いです。ウチも然りです。CTのある病院ではCTに頼ってしまいがちですが、検査費用や被曝の問題から、レントゲン撮影を先に行ってCTの必要不必要の判断をしなければなりません。今回のセミナーでは、お腹のレントゲン写真からでも、多くの情報が得られることが分かり、レントゲン撮影も侮れないと思われました。

お腹のレントゲン撮影では、ガスの分布、軟部組織や腫瘍の影、お腹の中に溜まった水や血液が分かります。横になって撮ったり、立って撮ったりすることにも意味があります。お腹の中で写った影が、固定されているものか、されていないものかが分かります。例えば、胆嚢の石や膀胱の石は、影が移動します。

セミナーの中では、腸炎、絞扼性イレウス、回盲部捻転、胆石イレウス、腸石イレウス、腸管穿孔、上腸間膜動脈閉塞、腸重積、膵頭部腫瘍、体網捻転、卵巣出血、ダグラス窩膿瘍、子宮筋腫、腎結石、肛門異物など、様々な疾患が登場しました。イレウスというのは、何らかの理由で腸が働かなくなり、便やガスが出なくなることです。捻転というのは、捻れてしまって、腸が狭くなり便が通らなくなったり、腸を栄養する血管がくびれて腸がダメになったりすることです。

ちなみに、場所が間違えやすい胆石と右腎結石では、胆石は綺麗なコロコロで、腎結石はゴツゴツしていることが多いというちょっとした読むコツとかもあります。

患者さんが困った時、大きな病院に行く前に、小さな病院を通過することは、意味あることなんだなぁと思った次第でした。たとえCT検査が出来なくても。また、挙げた病気は、時間との戦いの病気も多く、そんな患者さんと出会った時に見逃すまいと思いました。