前回の話の流れで風邪の話題です。
よく患者さんから「こじらせたくない、早く治したい」というお話を聞きます。
当然ですよね。
自分自身も(特に開業医は変わりがいませんから)こじらせたくないし、早く治したいし、まず予防したいです。
さて、こじらせたくない、早く治すために有用なのは何でしょうか?
現在の私の理解では、睡眠、水分、栄養です。
あれ?薬は?と思うでしょうが、薬は症状の緩和に使っており、根本的な治療ではありません。
感冒の原因は風邪ウイルス。
風邪ウイルス自体を減らす、殺す、増殖を抑える薬は存在しません。
抗生剤、抗菌薬は細菌感染に効果がありますが、ウイルスには効果がなく(早く治らない)、
こじらせない効果もありません。
それどころか、消化器症状の副作用や薬の飲み合わせが懸念されます。
(糖尿病や血をサラサラにする薬で最近よく悪い報告が出ています)
また、地域に耐性菌と言われる抗生剤がのさばることにもなっていきます。
風邪の受診に医療者が一番気をつかうのは、
内服の調剤よりも、本当に風邪かどうかの診断だと思っています。
記載:江口仁