2016年10月18日火曜日

マスコミの医療を否定する報道に対する見解

週刊誌に高コレステロール血症の内服薬などの内服薬を否定する記事が出てから、
数は少ないですが、患者さんに「この薬飲んでいていいの?」と聞かれることがあります。

その質問に対する私の答えは……

現在のガイドライン(医療の教科書的なもの)はどうやってできていくかというと、
肯定的な論文、否定的な論文が沢山積み重なって作られていきます。

一つ一つの研究が積み重なって、メタ解析(大きなデータとして再度解析したり)、
レビューといって一つ一つの研究を読み込んで、研究の質や量を確認していきます。
もちろん中には飲まなくていいという論調のものもあると思います。
しかし、総意として飲んだほうがいいというときに「飲むべし」というお話になります。

尚、医師の中には「この研究がいい研究であるから、他の論文と比べて治療戦略に優先的に取り入れる」ということもあり、医者ごとの治療方針の違いになったりしていきます。

このように一つの論文で決めることなく、様々な論文を積み重ねて判断していきます。

ですから、画期的な治療の論文が一つ出たとしても、私自身はまだふーんとしか思いません。( ´_ゝ`)フーン
その後2~3本同様の論文が出てくると、世の中の論調としてこの方向性にあるのだなー。と考えていきます。

もし、過剰な医療や過剰な検査が気になるのであれば、週刊誌を読むより、
Choosing wisely Japanなどのサイトを訪ねてみるほうがお勧めですよ。

記載:江口仁

2016年10月11日火曜日

インフォームドコンセント(説明と同意)とパターナリズム

インフォームドコンセントとは、説明と同意。

A治療は、〇のリスクがあり、△の治療率です。
B治療は、〇のリスクがあり、△の治療率です。
C治療は、、、

パターナリズムとは、強い立場にある者が、弱い立場にある者の利益になるようにと、本人の意志に反して行動に介入・干渉すること(Wikipedia)

貴方はA治療だ。
(説明なしに)では、薬を出します。


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日本では、パターナリズムが先行して病状説明、治療がなされてきました。
あまりにもパターナリズムが多くなり、インフォームドコンセントが台頭してきました。
自分で方針を決めなさい。患者さんの自己決定権の復権です。

しかし、臨床では決めれないことが多々です。
パーセンテージだけでは、どうしていいのかわからなくなることが多いのです。
一つの理由として、日本人は西洋人と比較して、自己決定を好まない人種とのことです。

寿司屋では、お勧め。
ランチはAセット。

結局は主治医と相談しつつ、「お勧め」を選ぶこととなるのでしょう。

2016年9月20日火曜日

第13回 病院総合診療医学会に参加してきました

病院総合診療医学会に参加してきました。

これからの医療のコンセプト、ビジョンを考えるだけでなく、総合診療医としてのアイデンティティをどうするのかなど非常に勉強になりました。

また、稀な疾患の報告もある学会なので、最近の注目されている診断なども多く発表されています。治療可能な疾患を見逃さないように知識の刷新も重要です。

勉強した内容と旅費を地域に還元せねばなりません。
コンセプト、ビジョンは今は約に立たないでも10年後に役立つでしょう。

*総合診療科ってどんなところ?という人のためにサイトをリンクしておきます。
http://hgm-japan.com/general/info.php

記載:江口仁

2016年9月13日火曜日

小医は病を癒し、中医は人を癒し、大医は国を癒す

小医は病を癒し、中医は人を癒し、大医は国を癒す

公衆衛生の大切さを説くフレーズです。
最近では、ワクチン行政や、ジカ熱、麻疹などのコントロールが話題になっています。
これまでは、上下水道の整備、ワクチン、食糧事情の改善などが、人の余命を伸ばしてきたのだと思います。

現代では、医療は細分化され小医が多くなったともいえますし、昔よりより多くの知識が必要になってきている事実もあります。
つまり、小医、中医、大医で誰がえらいとか賢いとかが問えない時代ともいえます。

その人なりの役割や責任を果たす時代です。


ジェネラリスト、一般内科医、プライマリケア医は通常中医に近いと思われます。
が、個人的に目指したいのは中の上医、やや大医に寄った存在になれればと思います。
診察をしていて、いかに予防医学が大切か、人と人とのつながりや社会性、文化が大切か実感するこの頃です。

ただ、予防は治すことより簡単ですが、症状がないために努力し続けることが難しいですね。

記載:江口仁

2016年9月6日火曜日

合宿とリハビリ

リハビリとは合宿である。
自動的になおして「もらう」ところではない。

きついトレーニング、好むものだけ食べるわけにいかない食事、良いコーチ、そして自主トレ。
きつくないトレーニング、好きなものだけ食べる、コーチはいない、自主トレはしないでは、選手も強くならない。リハビリも進まない。

リハビリが進む患者さんとは
1.自主性がある
2.少しきついが繰り返せる(無理をすることとは違う)
3.食事がしっかり食べられる
以上の3つの項目が大切だと思っている。

しかし、最近大切な要素にもう一つ気付いた。

「継続性」である。

退院後に続けなければ、来た道をまた戻っていくだけである。
一方、継続性を保つことは非常に困難である。

継続性についてはまた話題に上げたいが、要点は「意志力に頼るな」である。

記載:江口仁